患者が口にする「今さら薬を飲んでも遅すぎる」は勘違い
コレステロール降下剤の「スタチン」も、さまざまな疾患に対する有効性を確かめる試験が進んでいます。糖尿病などの血管を硬くする病気の患者さんにかなり早い段階からスタチンを投与して動脈硬化を抑制しようという試みや、腎機能が低下すると動脈硬化が進んで将来的に人工透析になるリスクが上がるため、これも早期にスタチンを導入すれば悪化を防げるのではと考えられています。
さらには、妊娠中は血圧が上がり動脈硬化が加速するなどして妊娠中毒症の原因になるため、妊婦さんに投与して、予防に役立てようと考えているグループもあります。
近年、そうした本来の目的とは違う薬の作用が、他の病気の治療や予防に使えないかどうかの総点検が行われているのです。
■薬の“今”を知らないと恩恵にあずかれなくなる
これからの時代は、こうした薬の“今”をしっかり知ったうえで、正しく薬と付き合いながら生活していくことが大切です。高齢化が進む日本人の場合、気を付けるべきなのは糖尿病、高血圧、その両方が要因となるさまざまな合併症です。これに該当する人は将来的に心不全になっていく可能性が高いので、早い段階から予防に努めることが重要になってきます。まずは、糖尿病や高血圧の改善に効果的な食生活や生活習慣を心がけましょう。さらに、どの段階から薬を使えば有効なのか、どのタイミングで和温療法などのケアを取り入れれば悪化させないで済むのかを医師に相談して確認しておくことをおすすめします。