AIを使った心臓分野の診断が実現する日はそう遠くはない
こうした先天性心疾患や冠動脈の詰まりは、AIを使った画像解析を導入しやすい病態といえます。臓器に構造的な均一性があるうえ、個体差の少ない比較的安定した画像が得られるからです。
正常な胎児の心臓の構造は個体差が少なく、弁や血管といった部位はほぼ同じ位置にあります。成人の心臓も大きさはほぼ一定ですし、冠動脈の本数も大きくわけて3本で、4本も5本もある人はいません。直径についても3~6ミリ程度の違いだけで、細い人は最初から細いままで途中から太くなるようなことはありません。いずれも正常な状態がある程度決まっているため、取り込んだデータから“異常”を検知しやすいのです。
■心房細動で活用するための研究を進めている
順天堂医院でもAIを使った心房細動の診断ができないかどうかを模索しています。高齢化が進む日本では、60代の2%、70代で4%、80代になると8%が心房細動を発症するといわれていて、これからますます患者さんが増えるのは間違いありません。
心房細動は命に関わるような脳梗塞や心不全の発症リスクをアップさせますし、それらを予防するために使われる抗凝固剤は高額な薬なので、それだけ医療費がかさんでしまいます。それがAIを使って早い段階で心房細動の発症リスクを予測できれば、予防のための効果的な治療を行える可能性が出てきます。