安易に隣の芝生をのぞくと幸福度が下がり悩みが増大する
先に挙げた「独り身」や「窓際」といった状況は、他者と比べるがゆえに「隣の芝生が青く見える」。そして、自分の能力の心もとなさを感じてしまい、頭では「自分は自分。他人は他人。比較する必要などないし、しても意味がない」、そう頭ではわかってはいるものの、やっぱり他人と比較をしてしまうのです。
スタンフォード大学のフェスティンガーによる「社会的比較」という理論があります。人は正しく自己評価するために誰かと比べたがるという理論です。人は生きていく上で、自分自身、そして自分の置かれた状況や環境をよく知っていることが必要だから誰かと比べてしまうんですね。
テルアビブ大学のアラドらが次のような実験(2017年)を行っています。普段はフェイスブックの使用が禁止されている情報セキュリティー会社の社員144人を対象に、彼らにフェイスブックの使用を解禁し、「友人の投稿のポジティブ体験/ネガティブ体験の受け止め方」「閲覧頻度」「自分自身の体験」「比較の程度」「幸福度」「フェイスブックの使用状況」などを調査しました。
その結果、若い社員ほど、フェイスブックの使用によって「社会的比較」をする傾向があり、「社会的比較」を行うと幸福度が下がる――という結果が明らかになりました。