重症化の犯人「サイトカインストーム」の仕組みと発生しやすい人
サイトカインストームが起きると、発熱や全身の倦怠感が過剰に起きて全身状態が悪化するほか、血液凝固システムに異常が起きて血栓症、脳梗塞や肺塞栓症などを起こす。
現在、サイトカインストームはT細胞由来の炎症性サイトカインのひとつ、インターロイキン6(IL-6)とその増殖回路(IL-6アンプ)が活性化することで起きるといわれている。
実際、新型コロナウイルス感染症の重症患者ではIL-6などの炎症性サイトカインの血中濃度が高まる一方で、抗炎症性サイトカインであるⅠ型インターフェロンなどが低濃度になることが報告されている。
英国では新型コロナウイルス感染症の重症患者800人を対象に比較試験を行い、人工呼吸器を装着して24時間以内にIL-6の作用を抑えて炎症を防ぐ薬を与えると、死亡リスクで24%、入院期間で7~8日短縮に成功したことが明らかになっている。これらのことからサイトカインストームはIL-6が大きく関与している可能性が高いとされている。
つまり、鼻や喉の奥で新型コロナウイルスが感染した後、肺に感染が始まるタイミングでIL-6アンプが活性化し、さまざまな炎症性サイトカインが産生される。やがて血管などを介して各臓器に感染拡大すると共にそれぞれのIL-6アンプが活性化して、全身に重篤な状態が誘導されるというわけだ。