重症化の犯人「サイトカインストーム」の仕組みと発生しやすい人

公開日: 更新日:

■腸内細菌叢や生活の乱れとの関係

 高齢者の場合は、これにウイルス感染や腫瘍の排除に働く、ある種のT細胞の活性化が炎症性サイトカインの産生に拍車をかけるといわれている。このT細胞は通常の風邪コロナウイルスに対しても反応するため、その記憶が多く蓄積されている高齢者の場合、より大量のサイトカインが産生されるからだ。

 また、糖尿病などの持病のある人や喫煙や偏食の人などは、もともと炎症が誘導されやすい状態にあると考えられる。

 香港の研究チームが軽症から重症までの感染者100人と、感染していない78人から採取した便を分析したところ、腸内の微生物と量に明確な違いがあることを確認。重症者は軽症者に比べて腸内細菌叢のバランスがより大きく崩れており、いわゆる善玉菌が少ないほど血液中に炎症性サイトカインの量が多かったとの報告もある。

 T細胞の中には、腸の粘膜に多数存在し、感染早期の防御機構を担っているものがあるから、食の乱れもサイトカインストームに大いに関係している可能性がある。重症化を避けるには、まず生活を改めることだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド