抜け毛に病気が潜んでいることも…病院に行くべき状況とは?
髪には「毛周期(ヘアサイクル)」があります。髪の毛が生えて抜け落ちて、新たな髪が生える循環のことを指します。一般的に1本の毛が成長してから抜けるまで、早い人で2年、遅い人で8年かかります。
日本皮膚科学会は〈1日におおよそ100本が抜ける一方で、約100本が再生して、ほぼ一定の毛の数が保たれています〉としています。基本的に、毎日100~200本抜けるくらいなら気にすることはありません。ただし、皮膚の代謝を止める作用のある抗がん剤を飲んでいないのに、手ぐしで目に付くほどの束になった髪が抜けるようなら受診が必要です。
毛が抜ける病気には、「AGA(男性型脱毛症)」やストレスを原因とする「円形脱毛症」が知られますが、まれに抜け毛をきっかけに悪性腫瘍が見つかることがあり、その一つに「有棘細胞がん」があります。
紫外線が原因で皮膚の表面にある表皮の中にとどまっているがんで、毛根ががん化し、1カ所からごっそり抜けることがあるのです。
また、自己免疫疾患として甲状腺のホルモンの機能が低下する「橋本病(慢性甲状腺炎)」や「膠原病(全身性エリテマトーデス)」などで抜け毛が表れるケースがあります。橋本病は、甲状腺ホルモンの分泌が不足することで発症します。甲状腺ホルモンには新陳代謝を促進させる作用があり、皮膚や髪の成長を促します。それが甲状腺ホルモンの分泌が減ることで、髪の生え替わりがスムーズにできなくなるのです。