コロナ禍は一段落したが…「隠れ疲労」を見逃してはいけない
しかし、いくら疲れがたまっていても、疲労を感じないケースがある。「自律神経が疲弊し『疲労感』として自覚させるのは、大脳の前頭葉にある眼窩前頭野という部分です。前頭葉は『意欲や達成感の中枢』と呼ばれていて、意欲や達成感を感じると、実際には疲れていても疲労感が隠されてしまうのです。この状態を『隠れ疲労』と呼んでいます」
コロナ禍が一段落ついた今は、この「隠れ疲労」が蓄積しやすい状況といえる。リモートワークや自粛が当たり前になっていたが、緊急事態宣言が解除されたことで、コロナ前の生活を取り戻しつつある人も多いだろう。通勤や職場での業務が再開され、久しぶりに知人と会食したり、職場のメンバーで飲みに行く機会が増えた。第6波が来るかもしれないから、警戒はしつつも今のうちに自由を楽しんでおこうという人も少なくない。
「しかし、やっと慣れてきた自粛生活から、急に元の生活パターンに戻されると、適応するために自律神経には大きな負担がかかります。通勤再開でそれだけ朝早く起床しなければならない人も多いでしょうし、職場で人と接しながらの仕事は自宅とは違ったストレスがかかります。仕事後に会食が続けばそれだけ疲れがたまりますし、睡眠不足になるケースも増えるでしょう。しかし、そうした疲労感は、通常に戻った仕事への意欲や、得られる達成感によって隠れやすくなってしまう。久しぶりに人と飲食する解放感や楽しさも、疲れを感じにくくさせます。気づいたら疲労が蓄積していて不調が続くといった状態を引き起こす危険があるのです」