統合失調症のAI早期診断プログラム 5年以内の実用化を目指す
「統合失調症の疑いは、『認知機能』のテストや『眼球運動』を調べることによって、ある程度は判別することが可能です。これらのデータを1000例単位でAIに学習させて、その解析結果を診断の補助に役立たせるのです。このプログラムは研究レベルではすでに完成していて、いまは臨床現場の医療スタッフが簡単に使えるように実用化研究を進めている段階です」
簡単に言えば、プログラムをタブレットなどの端末に落とし込み、患者に画面上の質問に答えてもらったり、画像や動画を見てもらい眼球運動の特徴をとらえたりして、それをAIが解析するといった仕組みだ。
統合失調症を判別する眼球運動の特徴は、橋本部長が大阪大学准教授時代に京都大学グループとの共同研究で発見したもの。
2014年当時の発表では、この方法を用いると統合失調症患者と健常者を88%以上で判別できるとしている。
「多くの医療スタッフの人たちに簡単に使ってもらえるレベルのシステムにすると、研究レベルのものよりも精度は落ちると思います。しかし、それはプログラムを工夫することでカバーできると考えています。将来的には、医療現場だけでなく心の健康相談の窓口になっている保健所などの施設でも使ってもらえる医療機器にしたいと思っています」
5年以内の薬事申請を目指しているという。