死亡事故も起こったロボット手術はよりたしかな安全性の検証が必要
しかし、患者さんを守る「医療安全」という観点から見てみると、まだ疑問が残るという点についても、前回少しだけ触れました。近年は「ロボット手術を実施している」と標榜する医療機関に患者さんが集まりやすい傾向があります。そのため、医療安全よりも「患者さんが希望している」あるいは「満足度が高い」という点が大きくクローズアップされ、それだけで突っ走っている印象を強く受けるのです。
もちろん、ダヴィンチのシステムエラーは0.2~0.4%と極めて低いといわれていて、安全性が確認されているからこそ、保険診療でもロボット手術が認められているわけです。しかし、本当に人間の手による手術よりも正確で安全なのか──よりたしかな安全性を担保するには、さらに大規模な検証作業が必要だと感じています。
■認定資格が設けられているが…
外科医がダヴィンチを操作して手術を行うには、メーカーが設けている認定資格を取得する必要があります。専門の研修施設でシミュレーターなどによるトレーニングを受講し、資格取得後は最低10例の症例を見学してから手術に臨むことが義務付けられています。しかし、今後も同じような医療事故が起こるようであれば、「メーカーの認定が甘いのではないか」という意見が出てくる可能性もあります。