死亡事故も起こったロボット手術はよりたしかな安全性の検証が必要
近年、普及が進んでいる「手術支援ロボット」を使った肺がんの手術で医療事故が起こり、60代の男性患者さんが死亡していたことが5月末に発表されました。
報道によると、2020年10月に大阪の吹田市民病院で実施された「ダヴィンチ」による肺の一部を切除する手術の際、執刀医が遠隔操作で鉗子を動かした時に大動脈を損傷し、大量出血を招いたといいます。すぐに手術を中断したものの、患者さんは低酸素脳症で17日後に亡くなりました。
病院の調査では、手術台から離れた場所で操作をしていた執刀医がモニターに映っていない範囲に鉗子を動かし、大動脈に接触させてしまったとのことでした。病院側は「適切な操作をしていれば防げた」と医療ミスを認め、遺族に謝罪して和解金を支払ったといいます。
前回もお話ししたように、手術支援ロボットは国産も登場するなど新たなタイプの開発が進んでいるうえ、適用される範囲も増えていることから、これからさらなる普及が予想されています。また、ロボット手術を希望する患者さんも多いため、導入する医療機関も増えています。