死亡事故も起こったロボット手術はよりたしかな安全性の検証が必要
医療機関によっては、メーカーの認定資格のほかに独自で実機訓練を実施しているケースがありますし、日本ロボット外科学会では専門医の認定制度も設けられています。こうしたさらなる安全性への取り組みを、大規模な臨床データをベースにしながらもっと積み重ねていくべきでしょう。
また、より安全な手術体制の検証も必要かもしれません。ロボット手術では、執刀医は手術台から離れた場所にあるサージョンコンソールというコックピットに座り、モニターを見ながらコントローラーを操作して手術を行います。実際に手術を行うのは、執刀医の遠隔操作に従って動くペイシェントカートと呼ばれる機械で、患者さんの側には、ペイシェントカートに設置されたカメラの位置を変えたり、鉗子を入れ替える医師が配置されています。
アメリカでは、PA(フィジシャンアシスタント)と呼ばれる専門の手術助手がそうした作業を行っていますが、日本にはそうした制度がないことから、まだ経験が少ない若手の医師が任される傾向が強いといえます。そのため、不測のトラブルが起こって患者さんが急変したときに、通常の切開手術に切り替えるなどして迅速に対処できないケースも考えられます。