小学校に上がるまでの栄養状態でその後の学力や知力が決まる 医療情報学教授が解説
では、1980年から身長が低下に転じたのは、なぜか。
論文では「低出生体重児(出生体重が2500グラム未満の子供)」の増加を挙げている。低体重で生まれると、その後の成長にも影響が残り、大人になっても身長が低い傾向にあることはよく知られている。1970年代には低出生体重児の比率が約5%だったが、2007年には約10%まで増加した。その結果、平均身長が低くなったというのである。
別の論文によれば、1980年の平均出生体重は3200グラムだったが、2010年には3000グラムに減少したという。理由として、医療の進歩により未熟児や早産児を救命できるようになったことに加え、高齢出産や過期産(予定日を過ぎた出産)のリスクを減らすため、早めの帝王切開が増えたことなどを挙げている。ただし、それらだけでは出生体重の減少の一部しか説明できない。もっと大きな要因として、女性のやせ願望や不妊治療の影響が出ているのだろう、と結論づけている。
ただ海外の研究では、社会経済状況(貧困、所得格差、教育格差など)が低出生体重児の大きな要因だとしているものが多い。日本は相対的に貧困な世帯が増え続けているので、すでに海外と同じようになっている可能性が高い。