がん治療における東洋医学の役割は? 再発対策としても注目
例えば漢方薬の「大建中湯」という処方薬は、外科や婦人科の開腹術後で腸の働きが悪い場合や、放射線治療による放射線腸炎、鎮痛剤のモルヒネの副作用による便秘などの改善に使われています。また、抗がん剤による倦怠感、無力感、食欲不振、食べても味がしない、吐き気などには「六君子湯」、免疫力の維持およびがんの再発予防には「補中益気湯」や「十全大補湯」などといった漢方薬が処方されています。
鍼灸治療も、抗がん剤治療に伴う肢体の痛みやしびれ、がん治療全般に広く応用されています。
また、最近の研究報告では、昔から滋養強壮、抗病力を高めることができるとされているツボの「足三里」は、免疫を担う白血球の活動を活発化させることが電子顕微鏡で観察され、「三陰交」は抗がん剤による赤血球や白血球の減少に効果が見られるそうです。いまや、がんに対する上記のいわゆる標準治療に東洋医学を加えることは、決して珍しくありません。西洋医学の負の部分をカバーし、がん患者さんの生活の質(QOL)および生存率の向上に大きく貢献すると考えられるようになっています。