「幸せな最期」を迎えるためにはどうすればいいのか?看取りの名医が指南
その場合には、抗がん剤を即座に中止。麻薬やステロイドなどにより痛みを緩和することで食欲が回復し結果として延命につながることも少なくないという。
「それでも、がんは必ず治るという病気ではなく、緩和や延命はいつまでも続きません。自然と食事や水分が取れなくなり、意識状態も少しずつ弱くなり、傾眠傾向が続くようになります。最期の時間が近づくと『水分も取れないのはかわいそう』という家族もいますが、最期の時間に向けては体は『ドライ』に保ち、少しずつ枯れていくように最期を迎えられるよう準備を進めていきます。ここまでくると、最も良い方法は『何もやらない医療』の選択です」
それでも、どうしても水分を体内に入れてあげたい場合には、血管からではなく腹部から「皮下点滴」をゆっくりと体に染み渡るように少量入れるという。
「『最期の食事ですね』という言葉をかけてあげると、家族も涙を流しながら、その時間を受け入れてもらえます」
■「治す」という意識を変える