新型コロナは感染の自覚がない人が半数以上 米医学誌で報告
新型コロナウイルスのオミクロン変異株は、他の変異株と比べて感染力が強いと考えられています。一方で、過去に流行したデルタ変異株と比べると、重症化のリスクが低く、無症状や軽症例も多いことが報告されています。
そのため、オミクロン変異株に感染しても、感染したことに気づかない人も少なくありません。
しかし、無症状の感染者がどのくらいの割合で存在するのかについて、質の高い研究データは限られていました。そんな中、オミクロン変異株への感染と、感染の自覚(認識)を調査した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルの電子版に2022年8月1日付で掲載されました。
米国カリフォルニア州で行われたこの研究では、新型コロナウイルスのオミクロン変異株に感染した210人(年齢中央値51歳、女性65%)が対象となりました。研究参加者の新型コロナウイルス感染に対する自覚については、自己申告による健康調査や診療記録などに基づき、総合的に評価されました。
解析の結果、感染の自覚があった人は44%(92人)に過ぎず、56%(118人)は自分が感染したことを自覚していませんでした。また、感染の自覚がなかった人のうち、10%(118人中12人)は何らかの症状を訴えていたものの、一般的な風邪や新型コロナウイルス以外の感染症が原因だと認識していました。さらに、感染を自覚しやすい人の特徴を統計解析したところ、医療従事者では、そうでない人に比べて、感染を自覚している人が2.5倍多いという結果でした。
論文著者らは「感染の自覚がないことは、地域社会においてウイルスの急速な感染拡大を引き起こす強い原因である」と結論しています。