睡眠をなるべく妨げないお酒の飲み方とは? 睡眠外来の作業療法士に聞いた
飲む前の白湯が効果的
アルコール(アセトアルデヒド)が睡眠に及ぼす悪影響を減らすには、脱水を防いで体内の水分量を増やすことがポイントになる。
「お酒を飲む前に水分を補給するように心がけましょう。あらかじめ体内の水分量を増やしておけば、その後の飲酒の影響で水分が排出されても、脱水を防ぐことができますし、二日酔いにもなりにくくなります。喉が渇いた状態でビールなどのお酒を飲む方がおいしいという気持ちはわかりますが、その夜の睡眠時に中途覚醒を軽減してなるべく質を低下させないようにするには、飲み始める前の水分補給が大切なのです」
体格=筋肉量によって変わってくるが、補給する水分量はコップ1杯分程度の180ミリリットルが目安になる。飲酒中も30分~1時間ごとに同じだけ水分を補給するとより効果的だという。
「さらに効果が期待できるのが『白湯』を飲むことです。水に比べて体温に近い温度なので、自律神経に負担をかけずに体の水分量を増やせます。仕事でアルコールの試飲を数多くこなす飲料メーカーの社員も、試飲する前に必ず白湯を飲むといいます。体への負担を少なくしながらアルコールの影響を減らすうえ、嗅覚がしっかりしてアルコール飲料の味もよりはっきりわかるようになるそうです」
ただし、これらのアルコール対策は、もともと睡眠のリズムが整っていることが大前提になる。普段から睡眠に問題を抱えていて、寝るためにお酒を飲む「寝酒」が習慣になっている人は、まずアルコールと睡眠はまったくの別物と考えることが重要だという。
「寝つきを良くするためにアルコールの催眠作用を利用している場合、次第に耐性がついてきて、アルコールの量が増えていく傾向があります。そのため、アルコールによる体へのダメージもどんどん強くなってしまうのです。この状態を防ぐためには、睡眠とアルコールを切り離し、日頃から睡眠リズムを整える方法を実践します。たとえば、目覚めたら窓から1メートル以内に入って光を浴びると、その16時間後に自然と眠くなります。また、夕方に体を動かして体温を上げると、夜に深く眠れるようになります」
アルコールと睡眠の関係をしっかり理解したうえで、お酒を楽しみたい。