他人の目を気にするのは杞憂 みんなはあなたを見ていない
また、心理学者のアラン・フェニングスタインが提唱した「自己標的バイアス」という心理学用語についても触れておきましょう(1979年)。
フェニングスタインは、50人のクラスメートを被験者に次のような実験を行いました。先生がテストを返却する際に、「みんなよくできていたが、1人だけできていない人がいた」と言ったところ、20%の生徒が「自分ではないか?」と不安に感じたそうです。50人中1人が該当することから、本来は2%のはずなのに、です。同じシチュエーションで、「隣の生徒がそうだと思うか?」と尋ねられ、「そう思う」と答えた生徒は8%だったといいます。
この質問だけでは、自分や隣の生徒のテストの出来をわかっていた可能性もありますから、念のため8人のグループをつくり、「この中の誰か1人にデモンストレーションをしてもらう」という別のケースでも試してみたそうです。
誰か1人が選ばれる──。そうした状況において、誰が選ばれるかを8人に聞いたところ、不思議なことに、他7人が選ばれる確率よりも、自分が選ばれると答えた人の方が多かったのです。このように「自分ではないか?」と過剰に思うのも、「自己標的バイアス」によるものです。