「冬の脱水」を甘く見てはいけない マスク着用に乾燥が重なって…
脱水で血液量が減ると、血液の粘度も上がる。赤血球の柔軟性がなくなり、白血球がくっつきやすくなり、血小板が固まりやすくなっている状態で、血球が柔軟に変形できないため毛細血管での血流が悪くなり、血液が固まって血栓ができやすくなるのだ。生成された血栓が脳の血管に詰まれば脳梗塞、心臓の血管に詰まれば心筋梗塞につながり、いずれも命の危険を伴う。
「たとえ健康な人でも脱水には注意が必要ですが、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病から動脈硬化が進み、冠動脈疾患がある人は狭心症や心筋梗塞を起こすリスクが格段にアップするので、なおさら気を付ける必要があります。また、慢性腎臓病を抱えている人は脱水を起こすとアッという間に腎不全に至るリスクがあるので、こちらも要注意です」
マスク着用に空気の乾燥も加わる冬の脱水から身を守るためには、予防が何より重要だ。
「たとえ喉の渇きを感じていなくても、2時間ごとにコップ1杯程度、200~300㏄の水分を補給することを意識してください。大量の発汗によって電解質も多く失われる夏に比べ、冬は水やお茶でもいいでしょう。加湿器を利用して室内の乾燥を防ぎ水分の蒸発を抑えるのも効果的です」
また、就寝中は水分を摂取できないため脱水を起こしやすくなる。寝ているだけで200㏄の水分が失われるうえ、尿として300㏄の水分が膀胱にたまる。ベッドに入る30分くらい前に少なくとも200㏄の水分を補給するように心がけたい。