新型コロナウイルス騒動は沈静化に向っているが…動物ウイルス学者はなぜ「絶望」したのか
「テレビや雑誌には放映時間や紙面の広さに制限があり、必ずしも言いたいことを正確に伝えることができませんでした。今回のコロナ対策で最初の間違いは、この感染症を未知のウイルス扱いしたことです。今回のウイルスは遺伝子配列的にSARSコロナウイルスに近い。それは流行の早い段階でわかっていました。その証拠に国際公式名称は『SARSコロナウイルス2型』(SARS-CoV-2)です。すでにSARSコロナは詳しく研究され多くの論文が発表されていて、感染メカニズムもウイルスの感染条件などもわかっていたのです」
本来なら、その知識を生かせばこれほどの混乱は起きなかったのではないか、という。それなのに、ステイホームを呼びかけたり、緊急事態宣言を安易に発動させた。
宮沢氏によれば、新型コロナは絶対に排除するウイルスではなく、もともと人と共存する定めのウイルスだったという。日本はそれを見誤り、最後まで修正できなかった。
「疫学データから新型コロナは感染しても発症しない人が相当の割合でいることが初期の段階からわかっていました。病原性が低く、発症期の他の人にうつす以上、把握は不可能で、大多数の人が感染しなければ収束しないことも明らかでした。にもかかわらず、コロナは恐ろしいという空気が醸成され、ロックダウンだ、ゼロコロナだなどという騒ぎになってしまった。ただし、欧米では基礎疾患のある人が多く亡くなっていたことが伝えられていましたので、これらの人を守る手だては必要でした。なので、私は『ウィズコロナで行くべきで、病原性は数年で落ちますよ、健康な若い人はそれほど感染を怖がる必要はありませんよ』と申し上げてきたのです」