ステロイドにさまざまな数多くの副作用があるのはどうしてなのか
これまでお話ししてきたように、ステロイドにはたくさんの効果があります。それは言い換えると、たくさんの副作用のリスクがあるということにもなります。今回はステロイドが持つ副作用を、効果と関連付けながらできるだけわかりやすくお話しします。
前々回、「ステロイドは元気を出す」とお伝えしましたが、その理由のひとつは血糖値を高める効果によります。そのため、ステロイドの内服が長期間になると、その副作用として「糖尿病」を発症する場合があるのです。ステロイドを中止できればいいのでしょうが、ステロイドを用いる病気の特性上、それが難しいケースも多くあります。場合によっては、糖尿病のクスリを使わなければならないこともあります。この副作用は内服や注射などでステロイドが全身に作用していることにより起こります。ですから、外用(塗り薬や吸入薬)として局所的に使用している場合は起こりにくいといえます。
ステロイドの影響で血糖値が高くなると、体はそれを下げようとしてインスリンを分泌します。じつはインスリンの作用は血糖値を下げるだけではありません。体の脂肪を増やす作用もあります。脂肪は顔や腹部に多く存在しているため、ステロイドを長期間、そして多量に用いているとそういった部分の脂肪が増え、肥満や満月様顔貌という副作用が起こります。これらの副作用は直接生命の危機に陥るものではありませんが、外見上の変化を伴います。対策としては、ステロイドの減量・中止が挙げられますが、それができない場合には食事を工夫するなどしてカロリーをコントロールしなければなりません。