中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ビタミンDでがん死亡率12%減 夏は10分散歩で十分量を合成できる

公開日: 更新日:

 慈恵医大の研究手法はメタ解析といって、複数の研究結果を統合して因果関係を解析する統計手法です。一つ一つの結果が否定的なものでも、まとめることで肯定的な結果が得られることはあります。

 実際、慈恵医大のグループも、日本で行われた試験を含めて一つ一つの試験ではビタミンDサプリのがん死を抑制する有意な結果が得られていません。そこで、第2弾の試験をスタートしています。

 では、どうするか。冒頭に紹介した通り、ビタミンDは日光を浴びれば合成されます。日光浴をすれば、無料で体内のビタミンD濃度を上げることができます。晴れた夏の日なら、沖縄でも北海道でも顔や手、腕などに10分も日光を浴びれば十分。これからの時季、ランチに出かけるなら、ワイシャツの袖をまくるとベターです。

 日本人は8割がビタミンD不足で、特に4割は欠乏状態といわれます。サプリを買うより、まず通勤や散歩で日光を浴びることを日課にすることです。

 問題は冬で、北と南で十分なビタミンDを得られる日光浴の時間が変わってきます。那覇は14分で済みますが、札幌は139分と2時間以上。雪の中、2時間もの散歩は難しいでしょうから、北国の冬はビタミンD対策が必要でしょう。

 その一つが食事で、ビタミンDを含む食品は魚介類やキノコ類など限られていて、食べるなら魚介類を。中でもサケが豊富です。100グラムで十分なビタミンDを摂取できます。

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