認知症のひとつピック病の患者が万引を繰り返すのはなぜ?
ピック病の方が「万引」を繰り返して店側とトラブルになるケースがあります。ピック病は前頭側頭型認知症のひとつで、理性や衝動性を抑える前頭葉眼窩面が障害されるので、発症後にモラルに反した行動が繰り返されるようになります。平均発症年齢は40~60代と、他の認知症よりも若年で発症するので、万引した際にクレプトマニア(窃盗症)と勘違いされるケースも少なくありません。
アルツハイマー型認知症の方の場合は、記憶力の低下から商品の支払いをしたか忘れて店を後にするパターンが一般的です。ただ、脳は幅広いネットワークを有するので、間接的に眼窩面も障害されるとピック病と同じくモラルに反した行動がみられる場合もあります。
ピック病の人が万引をする際、周囲を警戒せずに堂々と行う特徴があります。本人は世間一般的に万引が悪い行為であると認識していますが、脱抑制から自分自身の欲求を抑えられず、欲しい物があれば構わず持ち帰ろうとします。本能の赴くまま行動するのがピック病の特徴なので、いくら犯罪だと分かっていても前頭葉の障害により自分が欲しいと思った物をなぜ持ち帰ったらいけないのか理解できないのです。