著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

なぜ、感染症と高血圧の治療効果を同一に語ってはいけないのか

公開日: 更新日:

 ここまで、情報そのものの正しさの問題を取り上げてきたが、その情報の正しさは常にある一定の集団についての結果であって、個別に起こることとの間には大きなギャップが存在する。これまで取り上げてきたマスクの情報も、いずれも集団を対象にした研究である。「感染症という病気の性質上、集団についての影響、効果が重要である」と言うと、「いや、そこに問題はない」との意見があるかもしれない。

 例えば、これまでも例として取り上げてきた高血圧との比較で考えてみよう。「高血圧を放っておいて脳卒中や心不全になったとしても、それを他人に感染させることはなく、降圧薬などの治療を強制する必要はない」と考えることができる。むろん、脳卒中になって家族や会社に迷惑をかけたり、医療機関に負担をかけたり、医療費の増大につながったり単に個人の問題として取り扱うのがむつかしい面も多くある。しかし、「自分の問題だから」と言うことも可能だろう。

 それが感染症になると、話が違ってくる。治療しなければ感染をさらに周囲に広げるリスクがあるために、高血圧では緩くとらえられがちな社会への影響を、感染症では真っ先に重視しなければならない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」