石原藤樹
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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

インフルエンザは熱より「咳」が診断のポイント 感染症専門誌で報告

公開日: 更新日:

 今年の夏の風邪の特徴は、新型コロナと共に、インフルエンザも流行していることです。そのほとんどがA型インフルエンザですが、真夏の流行というのは、これまでに例のない異常事態です。

 インフルエンザの典型的な症状と言えば、急な発熱と関節痛と普通は考えます。実際、発熱外来という言葉があるように、その患者さんが感染症にかかっているかどうかは、通常は発熱があるかどうかで見分けているのです。 熱がなければ、とりあえず周りにうつすような感染症の可能性は低い、と判断します。しかし、その判断は本当に正しいのでしょうか? 

 2015年の感染症の専門誌に興味深い研究結果が報告されています。院内感染の防止目的で医療従事者に検査を行ったところ、遺伝子検査でA型インフルエンザと診断されたスタッフの半数以上は、実際には発熱を伴っていませんでした。

 その一方で、全ての症例で咳が認められ、鼻水やのどの痛みも6割以上で認められたのです。

 この結果は単独の施設のもので、症例数も少ないので断定的なことは言えませんが、A型インフルエンザの症状の特徴は急な発熱というのは、常に正しいわけではなさそうです。風邪症状が何かあって、インフルエンザの流行があれば、一度はその可能性を疑う必要がありそうです。

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