堀田秀吾
著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

私たちは過剰に「幸・不幸」の想像を膨らませる傾向がある

公開日: 更新日:

「完璧主義」という言葉があります。仕事はもちろん、プライベートでも完璧を目指してしまう。そのため、ささいなことが気になってしまい、周りとの関係性にズレが生じる。そうした軋轢の中で、人間関係に疲れてしまう人もいるかもしれません。

 他者の悪いところに目が届いてしまうのは、あなたが性悪だったり心配性だったりするからではありません。ですから、過度に自分を責める必要もありません。悪い部分に目がいってしまうのは、人間の性質上、「ネガティビティーバイアス」が働いてしまうからです。

 ビジネスパーソンや学生など各分野の専門家が集まってプレゼンをする「TED」というアメリカの講演会があります。その中で、心理学者のダニエル・ギルバートは、「宝くじで3億円当たった人と、事故で下半身麻痺になってしまった患者。1年後の幸福度はどちらが高いでしょうか?」という質問をしています。

 みなさんは、どちらだと思いますか?

 ギルバート氏の答えは、「どちらも変わらない」でした。下半身麻痺になったら不幸に感じるのではないか……多くの方がそう思うかもしれません。しかし、それは「インパクトバイアス」といって、「不幸になるんじゃないか」「失敗するんじゃないか」「不自由になるんじゃないか」という具合に、出来事のインパクトが大きいと、実際はそれほど影響がなくても、過剰に幸不幸の想像を膨らます傾向があるからです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  4. 4
    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  5. 5
    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  2. 7
    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

  3. 8
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 9
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  5. 10
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し