食事はどのくらい認知症予防に有効か? 世界的医学誌で報告
認知症の新薬が最近ニュースになっています。たしかに早期に使用すると、これまでの薬では得られないような効果が期待されるのですが、それでも進行を遅らせることが主な効果で、認知症自体が治る、というわけではありません。認知症は予防が第一、という考え方は変わっていないのです。
食生活を健康的に改善することで、認知症は予防可能だといわれることがあります。「MIND食」と呼ばれる食事はその代表的なもので、認知症予防のために開発された食事です。その内容は、オリーブオイルや魚、豆類や雑穀など、認知症予防に良いとされる食品を増やし、赤身肉やお菓子など、悪いとされる食品を減らすというものです。
このような食事を継続することで、実際にどの程度の効果があるのでしょうか? 今年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に、アメリカの2カ所の専門施設において、この食事を行った場合と、単純に軽度のカロリー制限のみを行った場合とで、3年間の経過を比較した臨床研究結果が発表されました。対象は65歳以上で太り気味の604人の高齢者です。その結果、認知症の予防にとっては、MIND食も普通のカロリー制限食も、大きな違いはありませんでした。
食べ過ぎや不摂生はもちろん認知症のリスクになりますが、特定の食事が確実に予防につながる、という根拠も、今のところ確かなものはないようです。