インフル患者が急増…重症肺炎を避けるため肺炎球菌ワクチンを今すぐ打つべき
インフルエンザに感染すると、肺炎にかかりやすくなる。
「気管・気管支のバリアー機能が壊れ、繊毛の機能が低下し、肺炎で一番多い原因菌、肺炎球菌に感染しやすくなり、肺炎を引き起こす」(永井医師)
季節性インフルエンザ流行時に肺炎で入院した患者の原因菌として、肺炎球菌が5割以上を占めていたという報告もある(倉敷中央病院による肺炎の原因菌が判明した患者の内訳)。高齢者は持病がある人が珍しくないが、そうなるとより厄介だ。肺炎の原因菌で一番多いのは肺炎球菌と前述したが、この肺炎球菌は小児の鼻咽頭に多数存在し、咳やくしゃみなどで飛沫感染となる。そうやって日常で発症する肺炎球菌感染症の中には、血液の中に肺炎球菌が侵入する重篤な侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)がある。IPDは持病があるほど発症リスクが高くなり、健康な成人を1とした場合、慢性肺疾患がある人で16.4倍、慢性心疾患で15.7倍、糖尿病で12.6倍、慢性腎疾患で25.2倍、がんで43.3倍の発症率だ。
「IPDは非常に経過が速く、国内の研究では、入院初日に亡くなる人が22%、2日以内に亡くなる人が54.3%でした」(永井医師)