「ウチ」と「ソト」の言葉を切り替えて相手の心をつかむ
世界中のどの言語にも、「ウチのことば」と「ソトのことば」の区別があります。
「ウチのことば」は、内輪のことば、つまり仲間同士の言葉です。日本で「タメ口」と呼ばれるものや、方言などは分かりやすい「ウチのことば」です。
対して、「ソトのことば」は、知らない人と話したり、公の場で話したりする際に使う言葉です。日本語では、多くの場合、敬語が「ソトのことば」の役割を果たします。知らない人は、自分の心の中にあるなわばりの外側にいる人です。相手からしても、話し手は自分のなわばりの外にいる人。お互いに相手のなわばりに入り込まないように気を配るため、おのずと敬語を使うようになるわけですね。
「ウチのことば」と「ソトのことば」を効果的に切り替えると、ぐっと相手との距離は縮められます。たとえば、少し昔の話になりますが、元お笑い芸人の東国原英夫氏が、宮崎県知事選の演説の中で、「どげんかせんといかん」と、宮崎の方言を使ったことで県民の心をつかんだという有名な話があります。これも、「ウチのことば」と「ソトのことば」を巧みに利用した話術と言えます。