著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

膵臓がん公表の森永卓郎さんが仕事継続をアピールした重要性

公開日: 更新日:

 会社の働き方改革が不十分で治療と仕事の両立が難しいケースも少なくありませんが、告知のショックで自ら会社を辞めている人が3割に上るのは見逃せません。私も自分で膀胱がんを見つけた直後はつらかったので、がん患者の気持ちは重々承知しています。

 しかし、そういうつらさに負けて、いろいろなことをよく考えずに決めるのはよくありません。離職した人は、32%が診断確定時で、最初の治療までが9%。4割は、治療が始まる前に離職を決断しています。

 告知のショックを引きずると、自殺リスクも高まり、診断から1年以内の自殺リスクは、がん患者でない人と比べて20倍です。2009~13年に東京都監察医務院で検案された自殺例9841人の調査から、自殺全体の5%はがん患者といわれています。告知のつらさで自暴自棄になり、仕事を辞めると、十分な貯蓄がなければ、治療どころか生活が立ち行かなくなりますから、より精神的に追い込まれることになるでしょう。

 自分のためにも、家族のためにも、がん患者は仕事を続けることが肝心で、森永さんが仕事の継続を強くアピールされたことの重要さが分かったと思います。仕事の継続は、生活費や治療費を工面する経済的な側面だけでなく、生きがいにも結びつくのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ