清水俊彦
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清水俊彦東京女子医大脳神経外科客員教授

東京女子医大脳神経外科客員教授。「汐留シティセンターセントラルクリニック」の頭痛外来には全国から患者が訪れる。

頭痛持ちが「脳過敏症候群」にならないために気を付けるべきこと

公開日: 更新日:

総集編(後編)

 片頭痛を市販薬でなんとか対処できている人も、時間をつくってぜひとも頭痛外来を受診してほしい。というのも、場合によっては「脳過敏症候群」に移行してしまう恐れがあるからです。

 これは、頭痛があるのに適切な診断と治療を受けず、市販の鎮痛薬でだましだまし生活し続ける、もしくは我慢を続けてきた人によく見られるもの。私が2010年にその概念を国際的に提唱。近年、医学のさまざまな分野で注目を集めるようになっています。

 慢性頭痛は「脳の過敏状態」が関係しています。片頭痛が代表的ですが、緊張型頭痛も群発型頭痛にも少なからず関係しています。脳が過敏になり、ちょっとした刺激で異常な興奮状態をもたらし、それが頭の痛みという危険信号として表現されます。脳の異常な興奮状態は適切な対処を欠き、放置することで、体にさまざまな不調が生じます。これが「脳過敏症候群」。片頭痛を発症してから長い年月を過ごしてきた人、だいたい40~60代に多いのです。

 この年代になると、加齢に伴う動脈硬化で血管が硬くなりこれまでのように広がらなくなります。その結果、血管周囲の三叉神経への刺激が少なくなるため頭痛は少なくなります。しかし、脳の興奮状態は治まっていないため、頭痛の消失後も耳鳴りやめまい、不眠などの症状が現れ始めるのです。脳過敏症候群へ移行しないようにするには、頭痛外来など専門医のもとで脳波の検査を受け、脳波の異常状態が確認されたら、その興奮状態を治める薬を服薬する、刺激の少ない生活指導などの治療を受けることです。

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