中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大腸がん公表の橋爪淳さんは検便受けず後悔…早めの検査の重要性

公開日: 更新日:

 大腸がんは検便で済み簡単です。ただし、暑い時季は、採取後の冷蔵庫保管に加え、提出当日、移動に時間を要す方は保冷剤で冷やすこと。常温で持ち歩くと、潜血が分解され、検査で反応しない恐れがあります。

 橋爪さんは検便を受けていませんでした。いまは後悔し、早期発見の大切さを実感されています。その大腸がん胃がん肺がん、子宮頚がん、乳がんの5つのがん検診は世界的に延命効果が認められていて、受診をお勧めします。

 もうひとつは、早期発見とは逆説的になるかもしれませんが、過剰診断について。私が所属する総合放射線腫瘍学講座で作製した短編映画のテーマが「過剰診断」で、その主演をお願いしたのも橋爪さんでした。

 橋爪さん演じた主人公は60代の男性で、主治医に前立腺がんの検査を勧められたことをキッカケに血液検査で前立腺がんのマーカーをチェック。それでがんが見つかり、主治医の勧めに従って摘出手術を受けます。術後の合併症に悩みながらも寿命を全う。天国への“関所”で手術は不要だったことを知ります。

 過剰診断は、生命を脅かす必要のない病気を診断して見つけることを意味します。そうすると、必要ない、過剰な治療が行われるリスクが高い。前立腺がんはそんながんの典型で、治療せずに寿命を全うできるケースが少なくありません。

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