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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

災害時の医療支援は必ずしも美談ばかりではない

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 その時の教訓から、今回は無理せず活動しようと臨みました。手持ちの睡眠導入剤も活用して無理にでもしっかり休んで最後まで活動することを優先しました。おかげで派遣から戻った後もしっかり仕事をすることができました。

 それでも帰った直後は“災害時モード”になっていたのか、いつもより速い判断と行動、口調も厳しめとなっていたように思います。体が活性化しているのか、派遣後一定期間は腰痛が消えていましたし、花粉症の症状も改善していました。不思議です。

 じつは強い使命感が悪い方向に作用するケースもあります。褥瘡などの患者さんに対し、一般的には継続できないような特殊な治療を行うなどもあったと聞いています。スポットで支援に入った医療者は、その地域で継続的にできる医療を考えながら活動する必要があるのです。

 私も現地では周囲の方々にいろいろとご迷惑をかけたこともあったと思います。もっと勉強していれば……といった思いは、災害時だからというわけではなく平時でも感じることです。医療者はいざという時に備えて、平時から努力しておく必要があるのです。

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