認知症の親を責めてはダメ…わかっているけど気持ちを抑えられない
認知症の母親が物を散らかすのはなぜ?
ただ、大阪府在住の女性、実際はご本人が言うほど、怒ってばかりではありません。
現在介護中、または介護経験がある仲間が周囲に何人もいて、情報を共有したり、愚痴を言い合ったりできることが大きいのだと思います。
そんな仲間とのやりとりで、気づきを得たことのひとつが「お母さんが部屋を散らかすのはなぜか」だそうです。
「整理整頓が得意で、いつも部屋をきれいに片付けていた母が、認知症になってから物を片付けられなくなり、部屋が散らかり放題。情けないし、恥ずかしいし、こんな汚い部屋にいても平気になっちゃった母が悲しくて、最初の頃、『どうして物を出しっぱなしにするの!』と怒ってしまいました」(女性)
片付けても、お母さんがすぐに物を引っ張り出してしまうので、床やテーブルの上が物でごちゃごちゃになってしまう。大切な銀行の通帳までテーブルの上。「女性が片付ける↓お母さんが散らかす」の繰り返しで、女性のイライラは募るばかり。
そんな時、義理の両親の介護を経験し、ヘルパーの資格を取った介護の先輩からこんな一言が。
「認知症で記憶力が低下しているから、見えないところにしまわれると、何がどこに置いてあるかわからなくて不安になる。銀行の通帳をテーブルの、よく見える場所に置くのも、安心するため」
女性はストンと納得がいったそうで、さらには「片付けられないお母さんが可哀想だと思うのは、自分の勝手な気持ちであって、お母さんが居心地よく過ごせるようにすることのほうが大事」という思いに至ったとか。
お母さんの部屋はお母さんのものなのだから、散らかっていてもいいじゃないか。ただし、転んだりしそうなものが床に置いてある時だけ、別の場所へ移動させる。
一方、リビングや台所など共有の場所は、やっぱり整理整頓した状態を保ちたい。そこで、片付けてもお母さんがすぐに引っ張り出してくるようなものは、机の上に置いたクッキーの空き箱へ、まとめて入れるようにしました。目に見える場所に物があり、お母さんも安心したのか、リビングなどで散らかすことは激減。女性が片付けの件でイライラすることも激減したそうです。
「介護は、『気づき』の連続でもあります」と女性が話していました。