歴史的な円安、相次ぐ値上げ…生活苦は「歯」の健康へどう影響するのか?
「景気変動が健康にどう影響するかについてはさまざまな考え方があります。近年は景気拡大期は余暇時間が減少し、ビジネスに関わる会食やストレスの増加などから死亡率が高まると報告されています。しかし、2000年以前は、景気後退期はそれに伴う失業リスク増加や受診控えの減少、食生活の悪化により、貧困層や人員削減でより多忙となる中間管理職の死亡率が増加するとの見方が強かった。少なくともお口の中の健康は、貧富の差が拡大している日本では景気後退期に悪くなります。そもそも経済的に余裕のある家庭では虫歯が少ないし、高齢者の残歯数は世帯支出が低いほど少ないのです」
最近は10代の虫歯は減っているものの、高齢者の虫歯や歯周病が増えていて高齢者の歯科診療の必要性は高まっている。ところが、お金の問題で必要な歯科治療が受けられない高齢者が増えているという。
「年金生活が始まると途端に歯科受診を避ける高齢者は本当に多い。介護保険料などが値上がりし、痛みが出ない限り歯科医院に行かないからです。そういう人がたまに受診すると虫歯だらけで、残歯本数が少ないケースがほとんどです」