がん最新治療 「陽子線」はピンポイントの攻撃力が強み

公開日: 更新日:

「かめはめ波」が、敵の前後左右の障害物にはダメージを与えず、敵のみを最大限のパワーで攻撃するイメージだ。陽子線治療は従来の放射線治療と比べて効果は高く、副作用は小さい。

 陽子線治療が保険適用で受けられるがんは、今年6月から可能となった肺がんをはじめ複数あるが、「手術による根治的な治療が困難な場合」など、陽子線保険適用に条件がついているものがほとんどだ。

「陽子線を含む放射線治療は、手術や抗がん剤と並ぶがんの三大治療です。手術ができ、それが最良の手段なら手術を最初に行うべきです。しかし、がんの転移があり手術が不可能な場合、陽子線治療が役立つ。また、舌がんのように手術によって話す、食べる、味わうといった生きる上で重要な機能を失いかねないがんもある。その場合、手術が可能でも陽子線治療と動脈から抗がん剤を投与する療法との併用で切らずに治す方法は、一つの手だと思います」

 また、小児がん(限局性の固形悪性腫瘍)では、抗がん剤によって終了後数カ月から数年後に合併症が生じる晩期合併症が出現しかねない。従来の放射線治療(X線)では脊椎骨の成長障害(低身長、側弯、変形など)が必発だ。それらのリスク回避においても、がんをピンポイントで治療できる陽子線治療は優れている。

 来週月曜日からの集中連載(4回)で、陽子線治療をより詳しく紹介する。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    パリ五輪は「史上最悪の祭典」…テロの脅威、暴徒、競技場不備、蒸し風呂の移動バス、選手村はエアコン無し

  2. 2

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  3. 3

    夏の京都に異変! 訪日客でオーバーツーリズムのはずが…高級ホテルが低調なワケ

  4. 4

    “やす子のマラソン時だけ”募金QRコード表示の「24時間テレビ」にツッコミ多数…なぜずっと出さない?

  5. 5

    中森明菜は金銭的にもひと息…ファンクラブ限定イベントは3日間で5000万円の実入り

  1. 6

    変装もバレバレ 周囲の客が恐れる和田アキ子のパチンコ姿

  2. 7

    宮田笙子の喫煙を以前から把握か?体操協会に向けられる疑惑の目…“過去にも厳重注意”の証言

  3. 8

    利上げ観測で「円高」急加速1ドル=151円台…7月末の決定会合で植田日銀はどう動く?

  4. 9

    大相撲名古屋場所観戦で間一髪…難を逃れた大村崑(92歳)が3年前から始めていたこと

  5. 10

    石丸伸二さんについて、あたしの頭の整理がついたので、述べさせてもらう。