昭和6年に誕生した「学校薬剤師」はどんな仕事をしているのか
先日、「学校薬剤師」として小学校の水道の水質検査を行いました。学校薬剤師というのは、学校医や学校歯科医らとともに、学校保健安全法で学校に設置が義務付けられています。
学校医というと、児童生徒の健康診断や“保健室の先生”といったように、すぐにイメージができる人も多いでしょうが、学校薬剤師の業務はあまり知られていません。
昭和5(1930)年、北海道小樽市の小学校で、風邪をひいて体調の悪い女子児童に「アスピリン」を服用させるつもりが、誤って毒物である塩化第二水銀を服用させたため亡くなってしまうという痛ましい事故が起こりました。これを受け、「いろいろなクスリを保管している学校にクスリの専門家を置くべきだ」という声が高まり、昭和6年に同市で初めて学校薬剤師が生まれました。その後、この流れは全国に波及し、「学校には学校医、大学以外の学校には学校歯科医および学校薬剤師を置くものとする」と定められたのです。
学校薬剤師は、学校環境衛生(換気、採光、照明など)の維持管理に関する指導・助言者としての職務が義務付けられていて、ほかに健康相談や保健指導にも従事するよう求められています。具体的には、水道の水質検査、プールの水質検査、二酸化炭素濃度などの空気検査や、教室の照度検査など学校の環境検査を行ったり、薬物乱用防止教室といった形で授業を行うこともあります。