「心房中隔欠損」は治療しないと40歳で寿命を迎えるは本当なのか

公開日: 更新日:

手術を受けるべきタイミングは決められている

 先ほども触れたように、一般的に心房中隔欠損は20代ごろまでは無症状のケースが多く、それまでに手術などの治療を行えば健常者との寿命の差はないといわれています。一方、手術をしなければ平均寿命は40歳前後という報告もありますが、これはかなり以前の“教科書”に載っていたものです。

 心房中隔欠損の診断は、いまは心臓超音波(エコー)検査によって行われるのが一般的です。しかし、まだ超音波診断機器がなかった時代は、血液検査で酸素飽和度の異常を調べたり、カテーテル検査を実施して初めて穴があることがわかるケースがほとんどでした。聴診器による診断でも典型的な所見がないため、カテーテル検査まで行うのは明らかに疑いがある患者さんに限られていました。そうした患者さんの多くは、ある程度大きな穴があいているため、心房中隔欠損と確定診断がついた人は、比較的早い段階、40歳くらいで心不全を起こすケースが多かったのです。

 心房中隔欠損で手術をしなかった患者さんの平均寿命が40歳前後とされていたのは、そうした当時の事情が大きいといえます。以前は、同じ心房中隔欠損でも、穴が小さかったり、症状が現れない人は、心房中隔欠損だとは認識されないまま寿命を迎えるケースが圧倒的多数を占めていました。しかし、近年は超音波診断機器の進化によって、少し異常があるからと精密検査を受ければ、心房中隔欠損が見つかるようになりました。ですから、いまは心房中隔欠損が見つかっても、穴が小さくて短絡の程度も軽く、症状も出ないケースでは、そのまま天寿を全うする人がたくさんいます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」