紙に「書き出す」だけで不安を抑え、パフォーマンスを向上できる
その結果、悩みの種となる出来事を書いてもらったグループのみ、実験直後こそネガティブな感情や頭痛や筋肉の緊張などの身体的な問題が生じる傾向があったものの、長期的には免疫の改善、精神的な苦痛の改善、診療センターへの訪問回数の減少、自律神経の改善など、さまざまな点で利点が見られたそうです。
双方のグループともにトラウマ的な過去を抱えているにもかかわらず、不安や心配事を定期的に紙に書き出したグループは、心理的負担が軽減されたというわけです。
さらに、ノースカロライナ州立大学のクラインと北テキサス大学のボールズらは、35人の新入生に「大学に来た気持ちや感想」を毎日20分間2週間にわたって書きつづってもらい、その一方で36人の新入生には「大学とは関係ない普通のトピック」を書いてもらうという研究(2001年)を行いました。
7週間後、前者は、後者に比べメンタル部分の改善だけでなく、ワーキングメモリーの大幅な改善も見られたといいます。ワーキングメモリーは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する前頭前野の働きのひとつです。ワーキングメモリーがパンクすると、それだけ人間は判断能力や処理能力が鈍くなってしまいます。