長寿研究のいまを知る(5)危険因子は「糖化」「酸化」「炎症」
さらに、百寿者には老化の危険因子が少ないこともわかっている。老化の危険因子の代表が「糖化」「酸化」「炎症」だ。
「『糖化』とは、食事などからとった余分な糖質が体内のタンパク質などと結びつき、タンパク質が変性・劣化してAGEs(最終糖化産物)がつくられる現象を言います。肉や魚を焼いたときにできる焦げ目も糖化によるもので、糖化を『からだが焦げる』と表現されるのはこのためです」
血管、骨、内臓、筋肉、皮膚、髪の毛など多くの組織や臓器はタンパク質でできている。そのため、タンパク質の機能を低下させるAGEsの蓄積は体内にさまざまなトラブルを起こす。例えば、皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層からできているが、真皮にAGEsが蓄積すると真皮幹細胞の働きが抑制され、新しい線維芽細胞の供給が滞る。その結果、コラーゲンなどが減少して、皮膚の弾力が失われ、しわやたるみ、くすみに発展する。
骨の体積の半分はコラーゲンでできており、糖化が起きると骨がキャラメル色になり、もろくなる。目に蓄積すると白内障の一因となり、血管に蓄積すると動脈硬化が進み心筋梗塞や脳梗塞の一因となる。