長寿研究のいまを知る(3)なぜ、老化で「テロメア」が注目されるのか

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 遺伝子変異が老化の絶対的な原因でない証拠はほかにもある。それは遺伝子配列が同一の一卵性双子であっても同じ病気を発症するわけでも同じ時期に死を迎えるわけでもないことだ。

 世界最大規模の双子研究のひとつに、2万966人のスウェーデンの双子を36年間追跡調査した研究がある。その研究では一方がある心臓病で亡くなった場合、もう一人が同じ病気で亡くなる確率は男性40%、女性30%だったという。

「動物実験では妊娠中の母親の食習慣が子供に影響し、その影響は子供の生涯を通じて維持され、次世代にまで受け継がれる可能性があることがわかっています。つまり、遺伝的要因は生涯にわたり影響してはいるものの、絶対ではないのです」(ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師=以下同)

 では、ほかにどんな原因が考えられるのか?

「プログラム説」(寿命には生物や個体によってばらつきはあるものの生まれてから死ぬまでの時間が遺伝子によってあらかじめプログラムされている)、「エラー蓄積説」(さまざまな原因によりDNAが傷つけられてそれが蓄積した結果、細胞が機能障害を起こして老化する)、「免疫異常説」(加齢に伴い免疫を担当する細胞の機能が低下して免疫細胞が自分の体を攻撃するようになり老化がもたらされる)、「突然変異説」(DNAが損傷した結果、複製を通じて染色体の異常や突然変異が引き起こされて体のさまざまな機能が阻害され老化する)などがある。

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