長寿研究のいまを知る(5)危険因子は「糖化」「酸化」「炎症」
■加齢により抗酸化作用が低下
1つの細胞にはミトコンドリアと呼ばれるエネルギー産生工場が数百から1000個以上あり、酸素と栄養素を使ってATPと呼ばれるエネルギー通貨を合成している。この工場からATP以外に出ているのがフリーラジカルや活性酸素だ。
「これらは工場から放出される排ガスのようなもので、必要以上の量になると非常に有害です」
すべての物質は原子からできている。原子は原子核と電子からできていて、原子核の周りを電子が回っている。原子が結合して安定した形が分子で、分子の中の電子は2個でひと組になっているが、なかに電子が1個だけの分子がある。こうした不安定な電子を持つ分子をフリーラジカルという。
「フリーラジカルは、安定するために他の分子から電子を奪おうとします。奪われた分子は不安定になり、さらに別の分子から電子を奪おうとします。一方、活性酸素は酸素が変化したもので、フリーラジカルと同じように他の分子から電子を奪おうとする性質をもっています。このように電子を奪う反応を『酸化』と呼ぶのです」