無理をして帰らなくてよかった…俳優の小堀正博さんギラン・バレー症候群との苦闘
翌朝、呼吸困難になっていたようで、自分では意識がなく、そのときのことは覚えていません。家族にICU(集中治療室)に入る旨を電話したらしいのですが、それも記憶にありません。気づいたらたくさんの管につながれて、人工呼吸器がついていました。体はまったく動きません。それくらい進行が速く、怖い病気なのです。
トータル4カ月半入院したうち、初めの2週間はICUにいました。
「ギラン・バレー症候群の代表的な治療である、免疫グロブリン療法をすればよくなるんじゃないか」という話で、免疫グロブリンを5日間ぶっ続けで点滴しました。1回目の薬がうまくいかなかったので、薬を替えてもう5日間点滴。あとは時間の経過を待つしかなく、体が固まらないように地道にリハビリをするだけでした。でも、体は触られるだけで痛い状態。足を5センチ持ち上げられると泣き叫びたいくらいでした。
■氷を食べた時うれしくて泣きました
ただ、人工呼吸器がついているので声も出せません。初めの約1カ月は50音のボードを使って“会話”をしました。看護師さんが指してくれる文字に、唯一動く首で合図しながら「さ」「む」「い」と伝える……そんな感じでした。自律神経もおかしくなるので、部屋をめちゃくちゃ冷やしたうえに氷枕を体中に敷いても汗が止まらない、なんてこともありました。