(1)生物学的な違いが寿命の差を生んでいる
なぜ、男性は女性に比して短命なのか。父は染色体XX/XYのみの差ではないであろうとの予測から研究を始めた。
男女生理の性差は、胎生期の脳の性分化から始まり、男女性ホルモンの生理学を基盤として存在することは理解されているはずなのに、現実の医療現場では男女性ホルモンの差を視点に入れた医療が、特に男性に対してはほとんどなかった。
1979年、第20回日本医学会総会で「男性にも更年期がある」と父が講演した際、「生理のない男性にそんなものあるはずない」と随分と笑われた。
しかし、男性の寿命が女性に比して数年も短いことは、国際的にも問題視されるようになり、WHO(世界保健機関)も動き出した。
その支援のもと、中高年男性医学の問題点を研究・発展を促進するために、1998年に国際Aging male研究会が創立され、それを皮切りに各国で男の健康について研究する学会ができはじめた。日本では父が2001年に男性の健康問題を総合的に検討し、中高年男性の再活性化とQOL増進に貢献したいと日本Aging Male研究会を立ち上げた。2006年には日本メンズヘルス医学会へと発展している。