「食品」ではなく「医薬品」として分類される栄養剤がある
成分栄養剤だけは食品に分類されるものは存在せず、医薬品のみとなります。ただ、臨床で多く使用されているのは食品に分類される経腸栄養剤です。
では、医薬品の経腸栄養剤のメリットは何なのかというと、最も大きな点はコストだと思われます。医薬品なので、当然保険診療の対象になります。つまり患者本人の自己負担額は経腸栄養剤の値段そのものではなく、75歳以上の場合はその1割、70~74歳で2割、70歳未満でも3割で済むのです。
また、臨床試験を行っているため、どういった副作用の可能性があるかもすでに分かっているというのもメリットです。デメリットである味に関しても、チューブを介して投与されることになるため、直接口に入ることはなく、それほど大きなデメリットにはなりません。
結局、栄養補助食品として経腸栄養剤を口から摂取する場合には味のバリエーションも多い食品に分類される経腸栄養剤が選択され、チューブを介して投与される場合には医薬品に分類されるものが選択されることが多い印象です。そのため、今後も医薬品としての経腸栄養剤は使われ続けられることになりますが、患者個々に最適な経腸栄養剤を選択することが最も重要といえます。