田中幾太郎
著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

清原和博次男の甲子園出場で注目「慶応幼稚舎」には“大物芸能人”の子女が今年も続々合格

公開日: 更新日:

 小学校受験を意味する「お受験」が世間に広く認知されるようになったのは1994年のこと。1~3月にTBS系で放送されたドラマ「スウィート・ホーム」(全12回)でさかんにこの言葉が登場した。野際陽子扮する塾長に触発されて、山口智子が演じる母親がお受験の狂騒に巻き込まれていくストーリーだ。視聴率は平均20%台、最終回は27%に迫る高視聴率を叩き出した。

【写真】この記事の関連写真を見る(52枚)

 同ドラマで山口の息子はことごとく入試に失敗。最後の最後で合格するのが慶陽幼稚部という小学校だった。名前からわかる通り、慶応幼稚舎がモデルなのはいうまでもない。お受験界の最高峰である。

「大学まで内部進学できるメリットもさることながら、幼稚舎には単なる慶応ブランドを超えたステータスがある」と話すのは幼児教室の経営者。蘭学塾としてスタートした慶応が大学部を設置したのは1890年。幼稚舎はそれより早く、1874年に創設され、慶応を体現する存在なのだ。古くから良家の子弟が集まる小学校として知られていたが、その人気はここにきてますます高まっている。

「コロナ禍真っただ中の21年度入試(20年11月実施)の出願倍率は12倍を超えた。将来の不安から、子どもに最上級の教育を受けさせたいと考えた親御さんが多かったようです。少子化の影響をまったく感じさせません」(同)

 昨年11月1~9日に行われた23年度入試は144人(男子96人、女子48人)の定員に対し志願者数は1584人。倍率はちょうど11倍だった。

「以前は近親者に慶応の出身者がいなければ、なかなか合格は難しいとされてきた。近年はそうしたハードルがなくなり、より受験しやすい雰囲気になっている」(同)

■コネの排除を掲げた99年の「金子」改革

 99年、幼稚舎の舎長(校長)に就いた金子郁容氏(現慶応大名誉教授)による入試改革が大きかった。コネを極力排除。それまで入学願書には祖父母の学歴や経歴まで書かせていたが、両親の氏名だけ記入する方式に改めた。さらに保護者面接もなくし、受験者本人だけで判断するようにした。

「金子改革のおかげで、入学してくる生徒もバラエティーに富むようになった」と幼稚舎関係者。著名人の子弟も増えているという。元プロ野球選手・清原和博氏の2人の息子も幼稚舎出身。長男・正吾氏は慶応大野球部に在籍。次男・勝児氏は今年のセンバツで甲子園の土を踏んだ。

 23年度は3人の芸能人の子どもが合格。大物ミュージシャン兼俳優、数々の主演男優賞に輝く俳優など、いずれも日本中の誰もが知る超大物だ。

「ビッグネームの親を持つ生徒がこれだけまとめて入るのは初めて。物おじしない子どものほうが合格しやすい」と話すのは慶応大の文系の元教授。自身も幼稚舎出身だ。

 今年の幼稚舎入試まであと半年余り。すでにお受験戦線は始まっている。



◆田中幾太郎の著書「名門校の真実」」(1540円)日刊現代から好評発売中!

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  2. 2
    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

  3. 3
    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

  4. 4
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  5. 5
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  1. 6
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  2. 7
    焦る小池知事は都知事選「公務優先」もマユツバ…連日のしたたか演出で組織固めに没頭中

    焦る小池知事は都知事選「公務優先」もマユツバ…連日のしたたか演出で組織固めに没頭中

  3. 8
    “もうひとつの首都決戦”都議補選「自民」は負け越し必至…「都ファ」は4候補が全員討ち死に危機

    “もうひとつの首都決戦”都議補選「自民」は負け越し必至…「都ファ」は4候補が全員討ち死に危機

  4. 9
    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

  5. 10
    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題