「南海トラフ」地震後の復興でカネを出すのは米国か、中国か…養老孟司×名越康文が考える
「第二の田舎」をつくっておく
──南海トラフに備えて、個人レベルで何をやっておくべきだろうか。
名越 すごいシンプルに言うと、「自分の田舎」をつくっておくということが大事ではないでしょうか。僕は月に2回、レコーディングのために清川村(神奈川県)に行くんですけども、そこは6000年に1回大きく揺れるらしいんです。つまり比較的安定している。そこに親しい友人がいるので拠点をつくりたいなと。
もう一つは福岡です。津波の来ないところに何カ所か親しい人をつくっておくことは大事ですよ。いざとなったら帰れる「第二の田舎」をつくっておくことです。生まれ故郷の奈良にはもう実家はないから、田舎と言えなくなりました。田舎に投資しろ。どうですかね。逃げ場を確保するというだけの話ではなく、人間関係を築いておくということです。
付き合いがおっくうでも、例えば一緒に森を歩いたり、飯を食ったり、子どもの話やふるさとの話をしたりしてゆくうちに培われてしまうものが、気心の知れた関係です。人間関係とその背後にある自然との関係性が絶対に大事で、田舎の人の多くは今でもその土地の風土という背景を持っている。気軽に、でも年数をかけて通うことが全てです。これがうまく行けばそれなりに経済も回ります。
──最後に助けになるのは人間関係の構築なのだ。