結果を焦る人に最も必要なもの…「歴史」と「愚直さ」がエネルギーになるワケ

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広い視野を忘れない

◼️「歴史」で大局観を養う

 大切なのは、毎日の生活で広い視野を忘れないこと。物事の大局を見る必要がある。それに加えて、歴史から学んだ現実的な視点も大切だ。

 世の中の大金持ちのほとんどが、何十年もかけて富を築いたというのなら、たった5年で大金持ちになろうとするのは現実的ではない。もちろん不可能ではない。文字通り一晩のうちに大金持ちになった人も実際に存在する。

 ただ、現実的でないというだけだ。

 そこで広い視野の出番となる。広い視野とは、自分を正しく評価して、何が現実的で、何が非現実的かを判断できる能力のことだ。広い視野を手に入れるには、まず歴史を知らなければならない。自分の人生と、身近な人の人生しか見ていなかったら、広い視野を手に入れることはできない。多くの人が挫折するのもそのためだ。彼らは自分の狭い世界の中だけにとどまっている。

 彼らは映画やドラマをお手本にする。しかし、ここで大切なのは、実際に何かを成し遂げた人から話を聞くことだ。興味深い人生を送った人の物語を本で読むことだ。

 私は最近、セオドア・ルーズベルトの伝記を読んだ。タイトルは『朝の乗馬:並外れた家族の物語 失われた生き方と、後にセオドア・ルーズベルトとなった唯一無二の子ども(Mornings on Horseback: The Story of an Extraordinary Family, a Vanished Way of Life, and the Unique Child Who Became Theodore Roosevelt)』。

 私がもっとも興味を持ったのは、この本の切り口だ。ルーズベルトの全人生を追うのではなく、人格が形成される幼少期から青年期が中心で、人格がほぼ完成する40歳前後で終わっている。この本が扱っているのは、もっともよく知られている大統領時代と、それ以降のルーズベルトではない。たいていの人は大統領時代のルーズベルトに興味を持つが、この著者は、後のルーズベルト大統領が形成される過程のほうに興味を持っていた。

 これもまた、広い視野を持つということの一例だ。

◼️あえて愚かになる

 何事も完成するまでには時間がかかる。そのため、ときには愚かになることも必要だ。ただし、本当に愚かでは困る。ここで大切なのは、何かに対して意図的に愚かになることだ。

 私は先日、ハワード・マークスのインタビューを聞いた。マークスは成功した投資家として有名だが、著述家としても高く評価されている。彼は10年もの間、クライアントにメモを送っていたが、その間まったく返事がなかったそうだ! 10年は長い。しかし、彼はただメモを送り続けた。何のフィードバックもないのに、同じことを10年も続けるのは並大抵のことではない。誰にも返事をもらえなかったら、たいていの人は途中でやめてしまうだろう。「ありがとう。役に立ったよ」の一言もないのだから。

 彼の態度を、粘り強いと言う人もいれば、ただ愚かなだけだと評する人もいる。私は彼を尊敬する。いい人生を送るには、こういった行動が必要だ。あなたが今すぐにやめたいことは何だろう? それともあなたは、ただ惰性で何かを続けている状態だろうか?

 人生は長い。何かに疑問を持ったり、自分は間違っているのではと感じたりすることもあるだろう。しかし、その気持ちはいったん脇に置き、ひたすら前に進んでみよう。自分にエネルギーと喜びを与えてくれることをやればいい。

▽著者=ダリウス・フォルー(Darius Foroux)
ベストセラー『THINK STRAIGHT』『What It Takes To Be Free(自由になるために必要なこと)』を含め7冊の著作がある。2015年にブログを開設し、6つのオンラインコースを創設。人生、ビジネス、生産性、資産形成に関する考えを執筆している。『タイム』誌、NBCテレビ、『ファスト・カンパニー』誌、『オブザーバー』紙など、多くのメディアで特集が組まれ、その思想や活動が紹介された。ブログの読者は月間50万人を超え、記事の購読者は3000万人以上になる。

▽訳者=桜田直美(さくらだ・なおみ)
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。訳書は、『The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと』(サンマーク出版)、『「科学的」に頭をよくする方法』(かんき出版)、『世界最高のリーダーシップ 「個の力」を最大化し、組織を成功に向かわせる技術』(PHP研究所)、『アメリカの高校生が学んでいる投資の教科書』(SBクリエイティブ)、『ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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