世界が注目!マイクロソフト「AIラボ」でできること タッグを組む企業からは驚きのアイデア続々
生成AIが誕生してから、その活用はビジネスにおいて大きなテーマ。しかし、製品化や商品化には壁もあり、頭を抱えている企業やエンジニアは少なくない。その解決に役立つ施設として大注目なのが、神戸にある「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe」(以下=AIラボ)だ。タッグを組む企業からは、驚きのアイデアが生まれているという。記者が訪ねて、関係者に話を聞いた。
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JR三ノ宮駅から海側に歩いて10分ほど。マイクロソフト(MS)のAIラボは、神戸商工貿易センタービル24階にある。MS本社がある米レドモンドやサンフランシスコ、ミュンヘン、上海、南米ウルグアイのモンテビデオに次ぐ世界6拠点目として、昨年10月にオープンした。
エレベーターで24階に上がると、ポートアイランドを囲むように広がる海を一望できる。開発作業や打ち合わせを行う部屋は快適だ。そのフロアの一角には、MSと共同で開発されたアイデアのうち、利用企業の許可が得られたものが展示されている。
■ドラレコに「腹減った」で好みの店を表示
そのうちのひとつは、パイオニアのドライブレコーダー「NP1」。2022年3月に発売された製品で、語りかけるだけでナビも設定できる。パイオニアは当初、上海を利用していたが、神戸の開業でこちらに移行したという。
製品に内蔵されたSIMカードでMSのクラウドサービスと連携。たとえば、「ラーメンが食べたい」と話しかけると、いくつかのやりとりを経て、現在地からおすすめの店までのルートを設定。「腹が減った」と言えば、AIが何度か話者の好みを確認した上で、おすすめの店へのルートを示すという。
ソニーセミコンダクタソリューションズのブースでは、人感センサーを2つ展示。1つは、センサーが人を認識すると、黄色の枠で表示。もう1つは、水滴のような形のアイコンに番号を付して表示する(写真(A))。
AIラボの平井健裕所長が言う。
「いずれも、一人一人の特徴点をAIが認識して表示しています。顔や姿形を表示しないので、個人情報に配慮した仕組みです。写真(A)のタイプでは、センサーエリアから外れた方が再びエリア内に戻ると、同じ番号と同じアイコンで表示されます」
平井所長の説明に、居合わせた人たちが同時に「ウソ!」と驚きの声を上げてエリア内外を出たり、入ったりすると、説明通りに記者の番号とアイコンはブレることなく一致した。スゴイ! 「工場やオフィスでの入退室管理などに応用できます」と平井所長。