世界が注目!マイクロソフト「AIラボ」でできること タッグを組む企業からは驚きのアイデア続々
AIオーブンが若手を技術指導
3つ目は、洋菓子のユーハイムとのタッグで生まれたバウムクーヘン用オーブン「THEO」だ。バウムクーヘンは、100人の職人がいれば100通りの焼き方があって、機械での再現が難しいが、同社の河本英雄社長はレドモンドのAIラボに出向いて、“AI職人”ともいうべき「THEO」の開発に成功。CCDカメラと温度計で庫内温度や表面温度を学習させ、職人の焼き加減をマスターさせた。
AIはこれまで職人の仕事を奪うととらえられることもあったが、そんなことはないという。
「当社では、AI職人派遣業としてTHEOを貸し出しています。人材不足に悩む地方の洋菓子店に貸し出すと、オーナーの“右腕”として活躍。農家では、閑散期などにバウムクーヘン販売で収入を得る手段になる。また養鶏場では、規格外の卵をバウムクーヘンに応用することで、フードロス対策に。しかも『朝どれ卵を使用』とPRすることで、販売と同時に完売のヒット商品。また、社内では、3代目THEOが若手の焼き方指導に役立っています。AIは、新しい仕事や収入を生み出しているのです」(河本社長)
神戸でのスタート前からのコラボも多く、さまざまな成果が生まれている。展示品はごく一部でも、技術の高さがうかがい知れる。
実は神戸市は、スタートアップ企業の支援に熱心で、2016年に米シリコンバレーにオフィスを開設し、スタッフを派遣。そこでMS本社とのつながりを持ち、AIラボの誘致につなげた。地元企業の川崎重工やユーハイムなどは、ラボ設立前からMSと共同でプロジェクトを進行。誘致をめぐっては、AIラボの推進協議会に名を連ね、ラボスタート後は神戸市や神戸大などとともに運営も支援している。