(53)多機能空調家電のナゾ…機能ごとに適応床面積がバラバラなワケは?
■全機能をメインと同じ畳数にするとコスト増
メーカーがこのように対応してきた理由は、全機能をメインと同じ畳数にすると大変なコストがかかるためです。メーカーは、3台分の機能が搭載されているのだから、3台分の値を多機能モデルに付けたい。しかし、それは許されません。ユーザーからすれば1台は1台だからです。トヨタのハイブリッド車はエンジンとモーターを搭載していますが、クルマ2台分の値段で売れません。
このような多機能モデルの元祖は加湿機能付き空気清浄機です。加湿器を空気清浄機に搭載した理由はいくつかありますが、ひとつは加湿器が冬に使う季節家電だったからです。
今でこそ暖房にエアコンが利用されるようになりましたが、昭和の時代の「暖」はこたつが当たり前。加えて石油ストーブでした。日本の住宅事情から「空気清浄機」「加湿器」は別々に置くことができず、合体したのです。
実は、この合体、当時は業界的にはホントにやるの? という空気でした。加湿器は水を使うので、最もばい菌が発生しやすい空調家電だからです。一方、空気清浄機は部屋の中のばい菌を集めるので、自家汚染の可能性があったのです。ですので適応床面積より、メーカーには対応すべき課題が多くそちらが優先されたのです。